島根県
足立美術館庭園
- 現代/昭和
島根県安来市にある「足立美術館庭園」(あだちびじゅつかんていえん)は、創始者「足立全康」(あだちぜんこう)によって設立された、多くの美術品を所蔵する「足立美術館」内の日本庭園です。アメリカの日本庭園専門誌による庭園ランキングでは長きにわたり1位に選ばれ続けています。約5万坪の広大な敷地に、多様な庭園を有している美しい庭園。今回は、世界一の日本庭園と評されている足立美術館庭園について、その特徴や見どころを詳しくご紹介します。


足立美術館庭園の施設概要

足立美術館は、実業家・足立全康によって、1970年(昭和45年)に開館。日本画名匠「横山大観」(よこやまたいかん)の作品をはじめ、「竹内栖鳳」(たけうちせいほう)や「橋本関雪」(はしもとかんせつ)、「北大路魯山人」(きたおおじろさんじん)といった、名だたる日本芸術家達の作品を展示しています。足立美術館見どころのひとつが、広大な日本庭園である足立美術館庭園。足立美術館庭園は、アメリカの日本庭園専門誌「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」による庭園ランキングで、初回から1位を独占し、2021年(令和3年)まで19年連続1位を獲得しました。
足立全康は、「庭園もまた一幅の絵画である」という信念のもと1968年(昭和43年)に造園に着手。庭園設計を行ったのは「昭和の小堀遠州」と称された、造園家・作庭家「中根金作」(なかねきんさく)。苔庭には、庭匠「植為」5代目で数々の庭園を手掛けた「小島佐一」(こじまさいち)も参画しています。現在の庭園基本形が完成したのは約15年後で、足立全康は、亡くなるまで庭園造りに心血を注いだのです。
足立美術館庭園は、その維持管理が細部にまで行き届いているのも注目すべき点。おもてなし精神のもと、年中無休で職員や庭師による掃除や管理が行われています。夏季には専属庭師による赤松剪定作業も実施しており、園内ある約800本の赤松は、状態が悪くなった際にすぐ交換できるよう、400本の予備を用意。雨が降った際に木から落ちたしずくが苔に穴をあけるのを防ぐために、炭が埋め込まれています。さらに苔にも予備を用意する徹底ぶり。隅々にまで行き届いた手入れや管理体制には目を見張るものがあり、足立全康の熱い思いを継承している庭園です。
足立美術館庭園の特徴・様式

足立美術館庭園は、「枯山水庭」・「苔庭」・「白砂青松庭」・「池庭」など、趣の違う複数の庭園で構成されています。
足立美術館主庭でもあるのが「枯山水庭」です。京羅木山(きょうらぎさん)を中心とする山々を借景としているのが特徴。庭園中央には大きな3つの立石を配置し、石組は峻厳な山を、カーブして描かれた砂浜は大河を表しています。山から流れ落ちた滝水が大河へと流れ込む様を、水を用いずに表現した枯山水庭園。背後の借景により、庭園の空間に奥行きが感じられるのもポイント。枯山水庭の白砂は奥出雲町横田の横田砂を使用しており、美しさを保つために、年に1回庭師が砂を運び出し水洗いする「砂洗い」を行っています。
枯山水庭手前に位置する庭園が「苔庭」。杉苔を中心とした苔の美しさを味わうことができ、紅葉の季節には、モミジの色づきと苔の緑を美しいコントラストで楽しむことが可能です。
「白砂青松庭」は横山大観作品「白沙青松」をイメージして造られた庭。庭奥に設置された滝から流れた渓流が、手前の大きな池へと注がれるイメージで作庭されています。池を挟んで右側には黒松、左側には赤松を植栽し、なだらかな白砂丘陵に大小の松をリズミカルに配置し、白い砂と青々とした松のコントラストが見事です。
「池庭」は、鯉が泳ぐ池を中心にした池泉観賞式庭園。石橋から右側部分は作庭当初の1968年(昭和43年)に造られました。正面には茶室「清風」が設けられており、庭園の風情のある景観が楽しめる穏やかな雰囲気の日本庭園です。
足立美術館庭園の見どころ
絵画のひとつとして楽しむ庭園

足立全康の信念を体現するように、足立美術館館内には、庭園を一幅の絵画に見立てた「生の額絵」、床の間の壁をくり抜いてその先の庭園を観賞できる「生の掛軸」など、庭園を味わうための趣向が凝らされています。茶室「寿楽庵」に設置された生の掛軸は、周囲の反対を押し切った足立全康が、掛軸を飾るため床の間の壁に自ら金槌で穴をあけて誕生。足立全康のこだわりを感じられる点であり、まさに日本庭園を作品のひとつとして観賞できるスポットです。抹茶を頂きながら、生の掛軸を観賞してみてはいかがでしょうか。
亀鶴の滝
足立美術館庭園右手奥に配されているのが「亀鶴の滝」。これは、借景となっている亀鶴山に、横山大観の「那智乃瀧」(なちのたき)をイメージして人工的に造った滝です。岩肌から豪快に流れ落ちる滝は15mと迫力満点な亀鶴の滝は、1978年(昭和53年)に足立美術館開館8周年を記念して造られました。芸術作品をモチーフに大きなスケールで造られた滝は、足立美術館らしさを感じられるポイントのひとつです。
四季折々の美しさ
足立美術館庭園内には数多くの花木が植栽されており、季節ごとに美しい姿を見ることができます。春はツツジなどの花が咲き、夏は木々の青々とした姿や、山々が雨に煙る様が見どころ。秋には燃えるように色づいたドウダンツツジやカエデ、冬は雪化粧をした水墨画世界のような景色を見ることが可能です。季節ごとに移ろい行く、足立美術館庭園の美しさを味わってみるのも一興でしょう。
また、足立美術館館内喫茶室は、庭園を眺める絶好の場所。お茶やお食事を味わいながら、美しい庭園を観賞してはいかがでしょうか。喫茶室「翠」からは枯山水庭が、喫茶室「大観」からは池庭が一望できます。
足立美術館庭園の施設情報
足立美術館庭園の施設情報についてまとめました。

フリックによる横スライド仕様となります。
| 施設名 | 足立美術館庭園(あだちびじゅつかんていえん) | ||
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| 所在地 | 〒692-0064 島根県安来市古川町320 | ||
| アクセス | JR山陰本線「安来駅」から無料シャトルバスで約20分 | ||
| 開園時間 |
※新館への入館は閉館15分前まで
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休園日 | なし※新館はあり |
| 料 金 | 大人:2,300円、大学生:1,800円、高校生:1,000円、小中生: 500円※団体割引あり※上記料金で日本庭園や本館、新館、魯山人館を拝観可能※土曜日は小中高生無料 |
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