
<解説>
大分県国東市に伝わる「ケベス祭り」は、岩倉八幡社の秋の大祭です。毎年10月14日に行なわれる火祭りで、祭りの語源や由来は一切不明でミステリアス。は櫛来(くしく)地区を8つに分け、毎年順番にひとつの地区が「当場(とうば)」を担います。祭りの主役は「ケベス」で、前日の13日の夜に当場の中から神官による吊りくじによって決定。当日は18時から男衆全員が海に入って禊(みそぎ)の「潮かき」をして身を清めます。19時から本殿で神官による祝詞奏上が終わると、選ばれたケベス役は面を渡されてケベスに扮装。
本殿前に積まれたシダが点火されると、燃え上がったところでケベスを中心に太鼓・笛・鉦による練楽(ねんがく)が始まります。白装束に身を包み、刺股を肩に担いだケベスはお囃子に合わせてゆっくりと進行。ひとまわりすると燃え盛るシダに向かって突き進みます。それを白装束姿の当場が刺股で受け止め、格闘したのち練楽の列に押し戻されます。
同じことを2回繰り返し、3回目に火へと突っ込んで火をかき回す所作を3回繰り返し、合計9回目に火に飛び込んで火をこねます。同時に当場の男衆が火のついたシダ束を刺股の先に刺し、参拝者に火の粉を浴びせかけます。熱い火の粉を避けて逃げる参拝者と、それを追う白装束のやりとりは壮絶な光景。
女性や子供からは叫び声が上がり、岩倉八幡社の境内にこだまします。この火の粉を浴びると無病息災に恵まれると言われ、逃げながらもありがたがる参拝者。火に包まれた境内は幽玄な空気に満ち溢れ、祭りは最高潮に達します。クライマックスは20時頃ですが、写真撮影等はマナーを守って行ない、危険な行為で祭り関係者や参拝者に迷惑がかからないようにしましょう。

