
<解説>
山形県鶴岡市に伝わる鶴岡天神祭は通称「化けものまつり」と呼ばれ、学問の神様と言われる菅原道真公を祀る鶴岡天満宮の例大祭です。この祭りは、菅原道真公が京都から九州の太宰府に配流になった際に、道真公を慕う人々が時の権力にはばかって、女性用の花模様の長襦袢で変装し、編み笠で顔を隠し、ひそかに酒を酌み交わして別れを惜しんだとの言い伝えに由来します。
江戸時代に始まって、「化けものによる酒の振る舞い」というスタイルになったのは明治時代に入ってからのこと。菅原道真公を祀る天神祭は日本全国の天満宮で催されていますが、化けものが酒を振る舞うというのは鶴岡市だけです。かつては会社や個人の家々にまで化けものが入ってきて、酒を振る舞っていたそうですが、現在では車の運転手や子供も楽しめるよう、お酒だけでなくジュースなども振る舞うようになりました。老若男女が派手な花模様の長襦袢に角帯を締め、尻をからげて手ぬぐいと編み笠で顔を隠し、無言で酒を振る舞う姿は、一種異様な光景。化けものの姿で、3年間誰にも知られず鶴岡天満宮にお参りできれば、願いが叶うとも言われています。
祭り当日には、約300年もの歴史を持つ天狗舞が奉納され、鶴岡天満宮神輿の渡御、菅原道真公行列、大絵馬のパレード、手踊り行列など、2,500人程が市内を練り歩き、鶴岡公園内のおまつり広場を目指します。沿道でこれらのパレードを見物していると、ユラーリと現れ、無言でお酒を振る舞う化けものたちに巡り合うはず。希望すれば誰でも化けものとして参加できるので、興味のある方はチャレンジしてみませんか?
当日準備するのは股引(ズボンも可)や足袋、草履(運動靴も可)などで、その他の衣装は無料で借りることができます。事前の申込みが必要な上、数に限りがありますので、詳細は公式ホームページでご確認下さい。

