観光スポット・旅行・レジャー

珍名・奇祭クイズ

第29問 愛知県豊川市に伝わる「うなごうじ祭」は、囃子にのって寝転がる様子が何に似ていると言われている?

正解 A:蛆(うじ)

<解説>

「うなごうじ祭」は正式には「若葉祭」と言い、毎年4月8日に近い日曜日と、その前日に行なわれる牛久保八幡社の例大祭です。起源は1505(永正2)年4月8日に遡ります。一色城(旧牛久保城)主の牧野成時(まきの なるとき)が氏神である若宮殿(現在の牛久保八幡社)に参拝し、柏葉にお神酒を献上して、連歌の発句(短歌の最初の5文字)を短冊にしたため、若葉に結びました。その際、駿河の今川氏親(いまがわ うじちか)の使者から今橋(現在の豊橋市)に城を築くよう命を受け、成時はこれを名誉に思ってこの日を祭礼の日に制定。

以降、4月8日に氏神の若葉殿に連歌を献上するようになったと言われています。若葉祭は一時期中断しましたが、1686(貞享3)年に復活。「牛久保八幡社社伝」には「この年四月八日、長山村熊野権現から獅子頭の送迎始まる」と書き記されています。そして1705(宝永2)年に神輿が完成し、1708(宝永5)年には「笹踊」が始まりました。その後、「神兒舞(みこまい)」「隠れ太鼓」などが始まり、変遷を重ねて現在に至ります。

また、俗称の「うなごうじ祭」は「尾長蛆(おながうじ)」が訛った言葉で、笹踊の囃子方「ヤンヨー神」が笹踊の囃子にのって幼虫の「蛆虫(うじむし)」のように寝転がる様子から付けられたと言われていますが、定かではありません。歴代の牛久保領主は領民をとても大切にし、労をねぎらうために城内へ呼び寄せ、酒や食事を振る舞いました。すると領民たちは深酒してまっすぐ歩けず、ゴロゴロと転がりながら助け合って帰ったと伝えられています。領民たちは善政への感謝を後世に伝えるため、そのときの喜びを神事に取り入れたのかもしれません。 祭り当日、牛久保八幡神社に山車5台、笹踊り、ヤンヨー神が勢ぞろいし、御旅所のある天王社まで往復します。

行列の最後尾を受け持つ笹踊の周りを年行司の一行がヤンヨー神として取り巻き、笹踊の歌を歌いながら随行。歌の終わりに「サーゲニモサー ヤンヨー神もヤンヨー」と囃すと、数人が1組となり、路上に寝転びます。一度転んだヤンヨー神は仲間が起してくれるまで寝ていなければならない慣しだとか。春の空の下、大人たちが一斉に寝転ぶ姿は壮観で、どこか牧歌的です。2009(平成21)年に愛知県の無形民俗文化財に指定されました。

うなごうじ祭 うなごうじ祭