
<解説>
秋田県にかほ市の小滝地区に伝わる小滝のチョウクライロ舞は県内でも珍しい延命長寿の舞です。起源は857年(天安元年)までさかのぼり、1,200年近くの伝統を持っています。
当時、鳥海山に住んでいた「手長足長」という悪鬼(あっき)が、その長い手足を使って旅人を襲って食べたり、日本海を行く船を襲ったりなど悪事を働いていたため、慈覚大師(じかくたいし)が法力で退治。その神恩に感謝するお祭りで53段の石段と土舞台を築き、感謝の舞を奉納したのがチョウクライロ舞だと言われています。
チョウクライロとは、長(ちょう)久(く)生(らい)容(ろ)が語源で、長く久しく生きる容(すがた)の意です。延命長寿を願うものとして今に受け継がれてきました。毎年金峰神社例祭日である6月第2土曜日に、チョウクライロ山と呼ばれる土舞台で演じられます。
最初に十二段御宝頭の舞による舞台のお清めが行なわれ、九舎之舞(くしゃのまい)・荒金之舞(あらがねのまい)・小児之舞(ちごのまい)・太平楽之舞(たいへいらくのまい)・祖父祖母之舞(そふそぼのまい)・瓊矛之舞(ぬほこのまい)・閻浮之舞(えんぶのまい)の7つの舞からなり、笛、太鼓、鉦、歌い手の楽人が付きますが、舞い手も楽人も男性。舞のうち3つは小学生の子供たちによるものです。
毎年5月20日頃から練習が始まり、ほぼ毎日約2時間も続けられるとか。こうした氏子達の努力があってこそ、長きにわたって伝承されているのでしょう。7つの演目がすべて終わると、舞を見ていた人々は、小児之舞で子供たちが使った花笠の花を取り合い、縁起物として持ち帰るそうです。2004年に国の重要無形民俗文化財に指定されました。

