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珍名・奇祭クイズ

第18問 東京都大田区大森東の厳正寺(ごんじょうじ)に伝わる「水止舞(みずとめまい)」で龍神役の若者が吹いて音をならすのは何?

正解 C.法螺貝(ほらがい)

<解説>

水止舞は、後醍醐天皇の元亨(げんこう)元年(1321年)頃に、住職・第二世法密上人(ほうみつしょうにん)が行なった長雨止めの祈祷に由来すると伝えられています。武蔵の国が大旱魃(だいかんばつ)に見まわれた際、稲荷明神の像を彫り、社を建てて藁で龍神のかたちをつくり、7日間祈祷したところ、見事雨を降らすことに成功しました。

ところがその2年後、数十日の長雨が続き、田畑が海のようになってしまい、農民達の中には法密上人を恨む者さえ出てきたそうです。そこで上人は三頭の龍像を彫って「水止(しし)」と命名。それを農民達にかぶらせて舞を舞わせ、太鼓を叩かせ、法螺貝を吹かせたところ、暗雲は消えてたちまち陽の光が。願いを叶えてくれた上人と仏様へのお礼と感謝、そして喜びを表すために水止舞は今に受け継がれていると言います。

水止舞は厳正寺から150メートル程離れた大森東中学校からスタート。荒縄でぐるぐる巻きにされた若者2人を龍神に見立て、大勢の男達が担いで運びます。そのうしろを警固(けご)役の少年達、花笠をかぶった2人が竹製の楽器「ささら」を打ち鳴らしながら続きます。行列は数メートル進むごとに立ち止まり、そのつど先頭の龍神にはバケツの水が容赦なくかけられますが、これは懲らしめるためではなく、元気づかせる雨。このときに法螺貝を吹き鳴らすのは、喜びの雄叫びを表しているそうです。

30分経ってようやく寺へ到着すると、嫌がる龍神を舞台上に担ぎ上げ、解いた荒縄を舞台の周囲に張り巡らし舞の準備完了。赤い面の雌獅子と金の面の雄獅子、黒い面の若獅子が舞い、踊りが二時間程続きます。水止舞の獅子は龍神の化身であり、この舞は雨を止ませるものではなく、感謝の舞。類い稀な民俗芸能ということで、昭和38年に東京都の無形民俗文化財に指定されました。

水止舞(みずとめまい) 水止舞(みずとめまい)