
<解説>
近江中山の芋競べ祭りは800年以上の伝統を持ち、日野町中山東・中山西に親から子へ、子から孫へと受け継がれてきた野神を祀る素朴な祭りです。東西2つの集落が、神前で里芋の長さを競い合うことから、天下の奇祭とも言われています。
平安時代から続く勧農行事で、里芋の長さを比べる理由は、稲作が始まる以前の日本は芋が常食だったからだとか、「いも」は鉄器を司る神を表しているから等、定説がありません。
9月1日の祭り当日は中山の東西の集落で栽培された里芋の中で、最も大きい物を選び、孟宗竹(もうそうちく)に結わえます。それを熊野神社に持って行き、盃の儀式を終えたあと、東西別々の道を通って野神山の頂上へ。
前日までに山頂の祭場は山子と呼ばれる男児たちによって竹で囲いが作られたり、小石がぎっしり敷き詰められたりして準備がされています。そこへ山若と呼ばれる青年達が東西7人ずつ揃って祭りがスタート。
まず始めに三三九度の盃の儀式を行なって、角力(すもう)を奉納します。それから膳が出されたり引き出物の交換があったりと、約2時間儀式が続き、最後に芋の長さ比べが行なわれて勝敗を決定。西谷の芋が長いと豊作、東谷の芋が長いと不作になると言われています。
平成3年の2月に国の重要無形民俗文化財に指定されました。

