
<解説>
「おびしゃ」は漢字で御奉謝と記し、その年の豊作祈願に弓で的を射る神事のことを言います。転じて正月の一般的な祭りとなったものもあり、平将門を祀る駒形大神社に伝わる「にらめっこおびしゃ」もそのひとつ。
昔は1月19日と20日にわたって2日間行なわれていましたが、現在は20日のみ。氏子は早朝から村の鎮守駒形大神社に飾る注連縄(しめなわ)を作って、「三臼の餅つき」を行ないます。
最初の臼と2回目の臼でついた餅が供物となり、3回目の臼でついた餅を「餅ぶつけ」に使用。餅に当たれば無病息災・福富を得ると伝えられています。続いて行司を中にして酒を飲み合うにらめっこがスタート。
注連縄・供物・酒を捧げ駒形大神社を参拝し、社務所で供物や飾り物を前にしての睨み合い。2人ずつ相対して小さな盃に熱燗が注がれ、同時に飲み干しますが、周囲の人たちは神妙な顔つきで酒を飲み合う2人を笑わせようとする上、盃の中は煮えたぎるような熱燗で飲みにくいという悪条件。
早く笑ったり咽せたりして盃を口から離した方が行司から「不敬もの!」と一喝されて「罰杯」が申し付けられ、顔の大きさ程もある大盃の酒を飲まなければなりません。人が入れ替わって何度も繰り返し千秋楽を迎えて祭りは終了します。
1859(安政6)年に始まったというこの祭りは、御奉謝保存会によって継承され、市の無形民俗文化財にも指定されています。

