
<解説>
「桑名石取祭」は8月に春日神社で行なわれる夏祭りで、桑名市の風物詩として市民に愛されています。江戸時代初期に始まったとされ、桑名城下の町人や藩士もこのお祭りを心待ちにしていたと伝えられています。
もともと春日神社の流鏑馬(やぶさめ)神事の馬場修理のため、町家川から石を運んだのが始まりと言われ、現在も清らかな石を採って神社に奉納しています。
「日本一やかましい」と言われる理由は、8月の第一日曜日の前日の午前0時、鉦(かね)と太鼓を一斉に打ち鳴らす「叩き出し」という神事から。
街中に轟音が鳴り響き、他所からの来場者は鉦や太鼓の音がしばらく耳から離れませんが、桑名の人々は子守唄代わりに眠りにつくとか。この日のために一年を過ごし、この瞬間にすべてを爆発させるパワーに圧倒されるはずです。
翌「本楽日」には美しい彫刻と豪華な天幕が施された例年40台程の祭車が整列し、日が落ちてからは灯火が夜空を焦がしながら巡行。打って変わってまるで時代絵巻のような美しさで見物客を魅了します。
祭車はもとより「祭典取締規則」と言った規約まで存在する程、地元の人々の財産として守られています。2007(平成19)年に国の重要無形民俗文化財にも指定されました。

