渓谷の造形美と空飛ぶだんご
厳美渓(げんびけい)は、岩手県一関市の磐井川中流にある渓谷で、全長約2kmにわたって渓谷美を鑑賞でき、国の名勝及び天然記念物に指定さています。
自動車の場合、東北自動車道の一関ICから10分程度の距離で、国道342号線を西方面へ向かって走って「厳美渓入口」を左折して旧道へ入るか、一関市博物館先の交差点を左折して旧道へ入ったところにあり、天工橋を渡った先に駐車場やレストハウスがあります。
一関市博物館の隣には、「道の駅厳美渓」が隣接しており、駐車場も広く、厳美渓来訪時の休憩にお勧めです。
新幹線で訪れる場合は、JR一関駅から路線バスもありますが日中は、運行間隔が1時間程度ありますので10km程度の距離ですがタクシーが便利なようです。
厳美渓は、栗駒山の噴火で堆積した疑灰石を同じく、栗駒山を水源としている磐井川の急峻な流れが川床を侵食することで、できた渓谷と考えられており、深いところでは川の水面から10数メートも侵食されているそうで、永い年月の流れを感じることができます。
厳美渓は、貴重な甌穴(おうけつ)と呼ばれる川底が小石で削られてできる円形の穴を鑑賞することができます。半球形状に滑らかに削られた穴や凹みのある岩肌は、確かに珍しく、自然の造形美を感じます。
厳美渓には2本の橋が架かっていて、天工橋から上流の眺めは、木々が生い茂って渓谷も深く切り立っていて壮観な眺めです。下流側にある御覧場橋は、歩行者用の釣り橋で少し揺れますが、川面が近く磐井川の流れと厳美渓の眺めを自然の中で満喫できる感じで、厳美渓も少し穏やかな表情になります。
また、厳美渓では「空飛ぶだんご」として多くの方に知られている「郭公(かっこう)だんご」が名物となっています。これは渓谷にあるの休憩所と対岸のだんご店に渡って設けられている、ロープに吊るされた「籠」に代金を入れ、合図の板を叩くと、対岸の「だんご店」から、籠に入った「だんごとお茶」が渓谷を渡って提供される「空を飛ぶだんご」のことです。