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城下町・陣屋町として発展した町 松山(奈良県宇陀市)

奈良県宇陀市松山地区は、戦国時代に宇陀松山城の城下町として形成され、江戸時代には陣屋町として繁栄した町です。この地の行政や商業の中心地であった優美な風情は、現在でも色濃く残されています。

江戸幕府の天領でもあった交通の要所 松山

平成18年7月5日選定

松山 飛鳥時代の歌人・柿本人麻呂が有名な「東の野に炎(かぎろひ)の立つ見えてかえり見すれば月傾きぬ」の歌を詠んだとされるのが、四方を山に囲まれ、宮廷の狩猟場であった「阿騎野(あきの)」と呼ばれていた地です。中世にはこの地を秋山氏が支配し、秋山城が築かれました。その後、豊臣秀吉の配下の大名によって町並が整備され「松山」と地名が改められ、現在に至っています。
大和から南方の吉野、伊勢へと通じる要所でもあるこの地は、江戸幕府直轄の天領となり、物資の集散地として大いなる発展を遂げ、「宇陀千軒」と称される程。明治維新後も繁栄は続き、宇陀郡役所や裁判所などが置かれました。
2006年(平成18年)に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定され、現在では近世初頭の町の区画割や、江戸時代から明治時代にかけての多くの商家が残されています。

松山地区のまちづくりの拠点 千軒舎(旧内藤家)

千軒舎(旧内藤家) かつて松山が「宇陀千軒」と呼ばれた賑わいを現代に蘇らせる意味で「千軒舎」と名付けられたこの建物は、松山地区まちづくりセンターとして2003年(平成15年)にオープン。地域のまちづくりを支援する拠点の役割と、歴史的町並散策の情報を発信する役割、そして伝統的建造物群保存地区における改修モデルハウスの役割を持つ建物として広く利用されています。
もとは薬屋・歯科医院として使用されていた内藤家の建物で、切妻平入・厨子(つし・屋根の下の物置場)2階・煙出し付の桟瓦葺(さんかわらぶき)・間口5間の町屋でした。その構造や伝承から明治時代前期に建造されたと言われています。商家らしくかつては「すり上げ戸」だったようですが後世に格子戸へ改修されている他、歯科医院診療室の増築、座敷周りや二階の部屋の改修などが行なわれたと推測されます。
この「千軒舎」では旧内藤家や町並の保存・整備に関連する展示も見ることができ、松山地区散策のスタート地点としても利用されています。

谷崎潤一郎が愛した店 黒川本家

黒川本家 南北に伸びる松山地区のほぼ中央部にある黒川本家は、1791年(寛政3年)以前に建てられたと推測される建造物です。切妻・厨子2階・桟瓦葺・平入の建物で、間口は10間半(およそ19メートル)もある堂々とした威容を誇っています。1615年(元和元年)に黒川道安が吉野から取り寄せた葛根から葛粉を作り、それが朝廷によって賞賛されたことから始まった、吉野本葛を商う店が黒川本家です。その後現在の松山の地に移り、「山ノ坊屋」の屋号を掲げて営業を継続。明治時代初期からは宮内庁の御用達も務め、昭和天皇もこの店の葛を気に入っていた程の名店です。また、文豪・谷崎潤一郎が小説「吉野葛」を執筆するにあたって来店し、以降愛したと伝えられています。
建物の窓や建具には細い建材を縦に並べたはめ込み式の格子が、また2階の道路側に面した壁には「虫籠窓(むしこまど)」と呼ばれる格子付きの窓が設けられています。

薬問屋の繁栄ぶりを現代に伝える 薬の館(旧細川家住宅)

薬の館(旧細川家住宅) 宇陀市松山は、南は紀伊山地、東は曽爾高原と降水量の多い地域に囲まれているため、その山地で採れた薬草が集まる町でもありました。古代「阿騎野」と呼ばれていた頃には宮廷の薬草採取地としても利用されており、その歴史は江戸時代の1729年(享保14年)に幕府の命を受けた森野藤助によって開かれた薬園にもつながります。江戸時代後期には松山に50軒以上の薬問屋が建ち並んでいたと伝えられており、商業都市の主軸となっていました。
旧細川家は現在、宇陀市大宇陀歴史文化館「薬の館」として使用され、銅板葺唐破風付きの立派な屋根が乗せられた「天壽丸」の看板がひときわ目を惹く、薬問屋の建物です。細川家は1806年(文化3年)に薬商を始め、現在の建物は江戸末期の建造と言われています。間口は8間半の広さ、3列形式の町屋で、座敷列の屋根は一段高くなっているユニークかつ豪壮なデザインです。商家町松山の繁栄の面影を残したまま、現在は松山の歴史資料をはじめ、細川家ゆかりの資料が展示されています。
なお、現在のアステラス製薬の前身のひとつである藤沢薬品工業は、この細川家から養子として藤澤家へ入った藤澤友吉が創業した会社です。このことから、宇陀市松山の薬商文化は、現在にも受け継がれてきていることを証明していると言えます。